公開・更新日:2026年09月03日

日本企業が海外送金に対応できない場合の取引方法

『海外送金に対応できない』という回答は、支払い方法だけの問題とは限りません。海外企業との契約、社内の取引先登録、輸出書類、海外配送、保証のいずれかが原因の場合があります。正規の取引を成立させるには、止まっている工程を特定し、購入・輸出・輸入の役割を明文化します。

執筆

KEI TAKAHASHI株式会社SERENSEED 代表取締役。日本の上場半導体専門商社で台湾製Wi-Fiチップの日本大手メーカーへの導入を推進し、台湾ではTIL spaceを創業。
SERENSEED事業イメージ
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取引を組み直すポイント

  • 海外送金、海外契約、輸出のどこが不可なのかを分けて確認する
  • 購入者・輸出者・台湾側輸入者と書類名義を発注前に確定する
  • 送金代行ではなく、証憑を残せる正規の調達・輸出取引を設計する

どの工程で止まっているのかを聞く

「海外不可」で終わらせず、どの工程で止まっているのかを切り分けます。

海外企業を取引先として登録できないのか、外貨を受け取れないのか、海外からの日本円送金も不可なのか。日本国内への販売はできるのか、輸出者にはなれないのかも聞きます。

回答は、契約・請求、支払い、日本国内納品、輸出書類、国際配送、保証の6項目に分けて記録します。一部に対応できるなら、残りを日本側の調達窓口や物流会社が担える場合があります。

利用できる4つの取引形態を比較する

第一は日本企業から台湾企業への直接販売・輸出、第二は日本円での海外送金と販売会社による輸出、第三は日本国内の正規購入窓口が購入して輸出、第四は販売会社が国内納品し物流会社が輸出を担う形です。どの形が使えるかは販売方針、商品規制、書類対応で決まります。

日本在住者へ個人的な立替を頼む方法は避けます。販売・調達・輸出の役割と対価を、契約、見積書、請求書で確認できる形にしてください。メーカーが転売や海外販売を禁止している場合は、その方針を優先します。

購入者・輸出者・輸入者を発注前に決める

日本側の購入者、輸出申告を行う輸出者、台湾側の輸入者を決め、InvoiceやPacking Listの名義と実際の取引を一致させます。所有権と危険負担がどの時点で移るか、破損・返品・保証を誰が担当するかも確認します。

台湾企業の社名、住所、台湾の法人番号(統一編号)、担当者、用途、納品先、日本企業の見積・請求条件は、一つの取引資料へ集約します。関係者が同じ資料を見ることで、行き違いを減らせます。

通貨・手数料・着金額を確認する

日本円建てか外貨建てか、送金手数料・中継銀行手数料を誰が負担するか、販売会社が受け取る正味額、支払期限を確認します。海外送金を受け取れる場合でも、着金額不足で出荷が止まることがあります。

カードや決済サービスを使える場合も、名義、利用限度額、返金方法、手数料を確認します。取引額が大きい場合は、取引銀行と会計担当者へ必要書類を事前確認します。

見積書と輸出書類をそろえる

商品名、型番、数量、単価、材質、原産国、納期、国内送料、税区分、保証条件を見積書で確認します。輸出時には取引に応じてInvoice、Packing List、B/LまたはAWB、必要な許可・証明を準備します。

商品情報を提供できない販売会社からの輸出は、台湾側の品目分類や規制確認が難しくなります。型番と仕様がそろわない場合は、購入を確定する前に必要情報を洗い出します。

決済後に止まらないよう商品規制を確認する

支払い方法が解決しても、商品が輸出できない、台湾で輸入・販売できない、日本国内保証しかない場合があります。食品、化粧品、医療・電気関連商品、木材、中古品などは商品を特定し、主管機関や通関業者へ確認します。

SERENSEEDは銀行送金、外貨交換、資金移動の代行は行いません。日本側の正規な購入・調達取引、国内受取、輸出・物流調整として対応可否を判断します。

対応できないケースを先に見極める

メーカーが海外販売・転売を明確に禁止している、必要許可が取得できない、制裁・輸出管理上の問題がある、書類や取引目的を確認できない場合は進められません。名義貸し、用途の偽装、個人口座を使った不透明な代金移動も避けます。

対応可否を早く判断するには、日本企業からの回答文、商品URL・型番、数量、用途、台湾の納品先、希望納期、請求書名義を共有します。

実務ケース

実務モデル:商品代金100万円の日本調達

台湾法人が、日本国内販売のみのメーカーから業務用商品を購入し、日本側で検品・輸出手配を行う想定例です。

費用構成例

  • 商品代金:1,000,000円
  • 日本国内配送:30,000円
  • 検品・取扱:50,000円
  • 輸出用梱包:100,000円
  • 国際運賃・保険:150,000円
  • 台湾側の関税・税金・最終配送:別途

必要書類

  • 日本メーカーの見積書
  • 台湾法人の会社情報・請求先
  • Invoice・Packing List
  • 型番・仕様・材質・原産国
  • 送金証憑
  • 台湾側輸入者の情報

失敗を防ぐ確認

  • 支払者・購入者・輸出者の名義が一致していない
  • メーカーの海外販売・転売方針を発注前に確認していない
  • 台湾の輸入規制を確認する前に輸送を予約している

上記は費用構造を理解するための仮定例で、見積額ではありません。実額は商品、梱包後寸法、規制、輸送条件、為替等で変わります。

販売会社へ確認する項目

  • 日本円の国内支払い可否
  • 日本国内配送の可否
  • 海外顧客との契約可否
  • 輸出者になれるか
  • 商品情報・原産国の提供可否
  • 保証対象地域

費用を左右する主な項目

  • 商品代金と日本国内送料
  • 輸出用梱包・通関書類
  • 国際輸送と保険
  • 台湾側の税金・通関・最終配送

よくあるご質問

日本企業が海外送金を受け取れなくても購入できますか?

必ず購入できるわけではありません。日本円の国内取引・国内納品が可能か、第三者による正規の調達・輸出を認めるか、商品が輸出入できるかを確認して判断します。

SERENSEEDは海外送金を代行しますか?

いいえ。銀行送金、外貨交換、資金移動の代行は行いません。日本側の購入・調達取引、国内受取、輸出・物流の調整として対応します。

販売会社に何を聞けばよいですか?

海外企業との契約可否、日円での受取可否、日本国内販売・配送の可否、輸出者になれるか、商品仕様・原産国の提供可否、海外での保証を確認します。

個人の日本口座から支払えば解決しますか?

取引実態、請求書名義、会計・通関書類が一致しない方法は勧めません。正規の購入者・輸出者・輸入者を定め、証憑を残せる取引にしてください。

確認先・参考情報

制度や輸出入条件は変更されるため、実際の手続きでは各機関・専門事業者の最新情報をご確認ください。