公開・更新日:2026年09月04日

台湾企業が日本の展示会スタッフ・通訳を手配する際の注意点

日本の展示会で必要なのは、日本語を話せる人をブースに置くことだけではありません。受付、商品説明、商談通訳、価格や納期の判断、商談記録は、それぞれ別の仕事です。役割を決めないまま一人へ任せると、重要な商談に入っている間に新しい来場者へ対応できず、説明内容も担当者によって変わります。ここでは、台湾企業が日本の展示会スタッフを選び、商品研修から会期中の運営まで整える方法を説明します。

執筆

KEI TAKAHASHI株式会社SERENSEED 代表取締役。日本の上場半導体専門商社で台湾製Wi-Fiチップの日本大手メーカーへの導入を推進し、台湾ではTIL spaceを創業。
SERENSEED事業イメージ
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スタッフ手配で先に決める3点

  • 語学力だけで選ばず、受付・商品説明・通訳・条件判断・記録の担当範囲を決める
  • 会期前日までに実物を使い、30秒説明、想定質問、持ち帰る質問を練習する
  • 休憩や商談の重複を想定し、代替担当と緊急連絡先までシフト表へ入れる

展示会スタッフの役割を分ける

役割主な仕事事前に確認すること引き継ぐ相手
受付挨拶、用件確認、担当者への案内対象来場者、ブース内の立ち位置商品説明担当
商品説明用途、特徴、仕様の説明30秒説明、よくある質問商談責任者
商談通訳質問と回答、条件の正確な橋渡し専門用語、数値、確約できない範囲台湾企業の責任者
記録名刺と会話、次の行動を紐付ける記録項目、個人情報の管理会期後の営業担当

バイリンガルであることと、商談を任せられることは別

日本語と中国語を話せても、商品の説明や取引条件の確認に慣れているとは限りません。採用時には、受付、商品説明、逐次通訳、価格交渉、記録のうち、どこまで担当できるかを確認します。

価格、最低発注数量(MOQ)、納期、独占条件など、その場で判断が必要な質問は台湾企業の責任者へつなぎます。通訳に判断まで委ねると、伝達と意思決定の境界が曖昧になります。

通訳へ渡す資料は、会社案内より現場の回答集を優先する

JETROの展示会マニュアルは、通訳へ依頼する業務と、企業・商品について学んでほしい内容を事前にまとめるよう案内しています。長い会社案内だけを送るより、主力商品、想定顧客、価格、MOQ、納期、答えてよい範囲をA4一枚にすると、現場で参照しやすくなります。

素材名や技術用語は日中対訳にします。台湾で使っている表現を直訳しただけでは、日本の買主が普段使う言葉とずれる場合があるため、商品資料と口頭説明で用語をそろえます。

商品研修は説明会ではなく、接客のリハーサルにする

研修では、ブランドの背景を聞くだけで終えません。通路で声をかける場面、30秒で概要を伝える場面、詳しい説明へ進む場面、責任者へ引き継ぐ場面を実物で練習します。

答えが分からない質問を受けたときは推測せず、会社名、質問、確認先、回答期限を記録します。回答を持ち帰る手順まで決めておけば、スタッフは無理な即答をせずに済みます。

設営後の前日確認で、資料では分からない動きを合わせる

JETROは、ブース完成後に通訳を交えた事前打ち合わせを行う方法を紹介しています。実際の陳列、商談席、デモ機器、資料の置き場を見ながら、誰がどこに立つかを確認します。

展示品がまだ届いていない場合、商品研修の質も下がります。スタッフの集合時刻は、輸送、開梱、検品、陳列の工程と一緒に決めます。

一人へ集中させると、商談が重なった瞬間にブースが止まる

通訳担当が重要商談に入ると、新しく来た人への一次説明ができなくなります。小規模ブースでも、受付と短い商品説明を担う人、詳しい商談へ入る人を分けるか、応援を呼べる状態にします。

人数に一律の正解はありません。ブース面積、商品数、デモの有無、予定商談、休憩を基に、同時に起きる仕事から必要人数を考えます。

シフト表には休憩だけでなく、不在時の代替担当を書く

開場前には、その日の目標、担当、休憩、緊急連絡先を共有します。昼食、トイレ、搬入物の受け取り、突発的な商談の間に、誰がブースを守るかも決めます。

終礼では、よく聞かれた質問、足りなかった資料、回答待ち、優先して連絡する会社を短く共有します。翌日の説明を直せるのは、複数日開催の展示会ならではの利点です。

名刺と商談メモを同じ担当者が会期後へつなぐ

名刺だけでは、誰がどの商品に関心を持ち、何を約束したのか分かりません。商品、用途、数量、検討時期、追加資料、次の連絡日を商談直後に残します。

ギフト・ショーの出展規定は、個人情報を取得する際に利用目的を示し、範囲内で適切に扱うよう求めています。紙の名刺、スキャンデータ、共有表の保管者と利用範囲も会期前に決めてください。

実務ケース

実務設計例:小規模ブースの役割表

少人数で運営する場合も、役割名だけは分けておくと引き継ぎが明確になります。以下は設計例であり、必要人数を示す基準ではありません。

費用構成例

  • 受付と一次説明を担当
  • 重要商談は日中通訳と責任者が対応
  • 商談後すぐに記録担当へ共有

必要書類

  • A4一枚の商品説明
  • 日中用語集
  • 想定質問と回答範囲
  • シフト・緊急連絡表
  • 商談記録フォーム

失敗を防ぐ確認

  • 語学力だけで採用する
  • 商品資料を当日に渡す
  • 休憩中の代替担当を決めない

スタッフ数、研修時間、担当範囲は商品と会場条件で変わります。SERENSEEDは人材手配だけでなく、役割設計と商品研修を含めて個別に確認します。

スタッフ手配前に決めること

  • ブースで会いたい来場者と目標
  • 受付・説明・通訳・判断・記録の担当
  • スタッフが対応する言語と専門分野
  • 主力商品と30秒説明
  • 価格・MOQ・納期の回答範囲
  • 日中の用語集と想定質問
  • 前日研修と当日集合時刻
  • 休憩と不在時の代替担当
  • 緊急連絡先と責任者
  • 名刺・商談メモの管理方法
  • 朝礼・終礼で共有する項目

費用を左右する主な項目

  • 出展料と主催者申請
  • ブース設計・施工・電気
  • 展示品の輸送・通関
  • 通訳・現場運営・会期後フォロー

よくあるご質問

日本語を話せるスタッフが一人いれば十分ですか?

一律には決められません。予定商談、来場者数、商品説明の長さ、休憩を考え、受付と重要商談が重なっても対応できる体制を作ります。

通訳へ商品資料をいつ渡せばよいですか?

手配後できるだけ早く共有し、遅くとも現場に入る前に業務範囲、商品、価格、MOQ、納期、専門用語を確認します。設営後の実物研修も有効です。

スタッフに価格交渉まで任せられますか?

担当者の経験と権限によります。通訳と決裁者の役割を分け、値引き、独占、納期など、その場で確約しない項目を決めてください。

SERENSEEDは中国語を話せる日本人も手配できますか?

案件、日程、専門性に応じて候補を探します。日本語を話せる台湾人を含め、言語だけでなく接客・商品説明・商談の担当範囲を確認して配置します。

確認先・参考情報

制度や会場条件は変更されるため、実際の手続きでは各機関・主催者の最新情報をご確認ください。