公開・更新日:2026年09月04日
台湾から日本の展示会へ商品を送る方法
台湾から日本の展示会へ荷物を送るとき、国際宅配便を予約するだけでは準備が終わりません。展示後に台湾へ戻す物、会場で配る物、日本で販売・譲渡する物では、通関の考え方が異なります。特に日台間の一時輸出入は、通常のATAカルネという呼び方だけで判断せず、SCCカルネを台湾側で確認する必要があります。発送前の分類から日本での受取、会場搬入、返送までを順に整理します。
執筆
KEI TAKAHASHI株式会社SERENSEED 代表取締役。日本の上場半導体専門商社で台湾製Wi-Fiチップの日本大手メーカーへの導入を推進し、台湾ではTIL spaceを創業。
発送前に決める3点
- 展示品を、台湾へ戻す物・配布や消費をする物・日本に残す物へ分ける
- 日本側の輸入者、荷受人、通関業者、会場まで運ぶ会社を出荷前に決める
- Invoice、Packing List、カルネ物品表、搬入票の品名と数量を一致させる
用途によって輸入方法を分ける
| 区分 | 例 | 確認する手続き | 会期後 |
|---|---|---|---|
| 台湾へ戻す物 | 家具、機器、再利用する見本 | SCCカルネや再輸出免税を専門家と確認 | 期限内に再輸出 |
| 配布・消費する物 | 試供品、食品、印刷物 | 通常輸入と品目別規制 | 消費・配布数を管理 |
| 日本に残す物 | 販売品、譲渡品、保管品 | 通常輸入、納税、表示・販売規制 | 保管・販売先を記録 |
最初に、返送する物と日本に残す物を箱の中でも分ける
展示して台湾へ戻す商品と、会場で配るサンプルを同じ扱いにすると、会期後の数量確認が難しくなります。商品一覧を作り、返送、配布・消費、日本に残す、の三つへ分類します。
無料サンプルや非売品でも、日本の輸入規制が自動的に免除されるわけではありません。食品、化粧品、医薬品、植物などは、税関以外の許可・確認が必要になる場合があります。
InvoiceとPacking Listは、税関と現場が同じ荷物を特定するための資料
日本税関は、輸入申告時の資料としてインボイス、包装明細書、運送書類などを挙げています。Invoiceには品名、材質、用途、数量、単価、合計価額、原産国、荷送人と荷受人を整理します。
展示用で販売しない物を、理由なく0円で記載するのは避けます。申告価格の考え方は商品と取引条件で変わるため、通関業者へ確認してください。Packing Listには箱番号、中身、数量、重量、外寸を記載し、現物と一致させます。
台湾から日本への一時持込みは、SCCカルネを台湾側で確認する
展示後に同じ状態で台湾へ戻す商品見本や機材は、カルネを使える場合があります。台湾と日本の間では、民間協定に基づく貨品暫准通關證、いわゆるSCCカルネが使われています。台湾から輸出する場合の申請先はTAITRAです。
2026年9月時点の日台間のSCCカルネは紙で運用されています。カルネは販売品、配布物、消耗品のための制度ではありません。対象品、物品表、担保、期限、各税関の記録を出荷前に確認します。カルネがあっても、規制品に必要な許可や承認は別です。
JETROは外国展示品を一時的に扱う方法として、保税展示場、再輸出免税、カルネを案内しています。どの方法が適切かは会場、商品、販売・配布の有無、返送計画によって変わります。
会場住所へ直接送る前に、日本側の輸入者と荷受人を決める
展示会場を配送先に書けば、主催者が輸入者や荷受人になってくれるとは限りません。誰の名義で輸入し、どの倉庫で受け取り、輸入許可後に誰が会場へ運ぶかを決めます。
台湾企業など日本に居住しない者が自ら輸入手続きを行う場合は、日本国内の税関事務管理人を届け出る仕組みがあります。ただし、申告代理を業として行えるのは許可を受けた通関業者です。SERENSEEDは台湾側のフォワーダー、日本側の通関業者、主催者指定の物流会社をつなぎますが、無資格で通関申告を代行するものではありません。
搬入日は会期ではなく、出展者マニュアルから確認する
展示会には、搬入可能日、車両の入場時間、宅配便の受取方法、指定ラベル、指定物流会社などのルールがあります。前年や別の展示会の日程を流用せず、今回の出展者マニュアルを基準にします。
台湾出荷日は、日本の搬入可能日時から逆算します。国際輸送に加え、到着後の書類審査、検査、他法令手続き、国内配送、開梱と検品の時間も必要です。通関日数は貨物と書類によって変わります。
箱番号と展示位置をつなぐと、設営日の混乱が減る
各箱に番号を付け、Packing List、写真、ブース内の設置場所を紐付けます。開梱順も決めておくと、必要な工具や什器が別の箱に埋もれません。
破損や不足は開梱時に撮影し、物流会社へ連絡します。スタッフの商品研修を設営後に行う場合は、検品と陳列が終わる時刻も工程表へ入れます。
返送は展示会が終わってから考えるのでは遅い
出荷前に、空箱と緩衝材の保管、再梱包担当、返送ラベル、集荷時刻、再輸出期限を決めます。会場で売れた、配った、壊れた、紛失した商品があれば、数量と対応を記録します。
カルネ対象品を現場判断で販売・譲渡すると、再輸出時の確認に支障が出ます。変更が起きた場合は、通関業者とカルネ発給機関へすぐ相談してください。
物流は、書類・通関・会場・返送を一つの工程で管理する
国際輸送、通関、国内配送、会場搬入を別々に依頼すると、遅れた時の確認先が分かれます。商品一覧と工程表を共通資料にし、各社の責任範囲と緊急連絡先を明記します。
SERENSEEDでは、展示品の用途分類、書類の記載照合、日本側の専門会社との調整、会場での受取・検品、返送までをまとめます。個別の申告判断は税関、通関業者、該当分野の専門家へ確認します。
実務ケース
実務設計例:展示品リストを3区分に分ける
一つの商品でも、展示後の扱いによって手続きが変わります。発送前に用途と数量を固定するための分類例です。
費用構成例
- 返送品:商品見本と再利用する什器
- 配布品:カタログと試供品
- 日本に残す品:販売・譲渡・保管予定品
必要書類
- Commercial Invoice
- Packing List
- 運送書類
- カルネまたは輸入申告資料
- 会場搬入票
- 返送指示書
失敗を防ぐ確認
- サンプルを一律0円で記載する
- 会場を輸入者とみなす
- 返送方法を撤収日に決める
利用できる制度と必要書類は商品、用途、数量、規制、輸送方法で変わります。発送前に通関業者と公式窓口へ確認してください。
台湾から発送する前の確認項目
- 商品名・型番・材質・原産国
- 返送品・配布品・日本に残す品の区分
- 品目別の輸入規制と許可
- 日本側の輸入者と荷受人
- 台湾側フォワーダーと日本側通関業者
- Invoiceの品名・数量・価格
- Packing Listの箱番号・重量・外寸
- SCCカルネ利用の可否と期限
- 会場の搬入日時・指定物流・ラベル
- 開梱・検品・設置担当
- 空箱・緩衝材の保管場所
- 再梱包・集荷・返送書類
費用を左右する主な項目
- 出展料と主催者申請
- ブース設計・施工・電気
- 展示品の輸送・通関
- 通訳・現場運営・会期後フォロー
よくあるご質問
台湾から日本へ展示品を送る場合、ATAカルネを使えますか?
日台間ではSCCカルネの確認が必要です。対象品、用途、担保、期限を台湾側の発給窓口と通関業者へ確認し、販売・配布する物は別に扱います。
無料サンプルならInvoiceを0円にできますか?
無償でも、税関が確認できる品名、数量、価格情報が必要です。申告価格の記載は商品と条件によるため、根拠なく0円とせず通関業者へ確認してください。
東京ビッグサイトへ国際宅配便で直接送れますか?
展示会ごとに受取方法が違います。輸入者、荷受人、通関後の国内配送、搬入可能時間、指定物流会社を出展者マニュアルで確認してください。
SERENSEEDへ通関を任せられますか?
SERENSEEDは商品分類、必要情報の整理、フォワーダーや許可を受けた通関業者との調整、会場搬入と返送を支援します。通関申告は資格を持つ事業者と進めます。
確認先・参考情報
- 日本税関|輸入申告の際に必要な書類
- 東京税関|個人・自社輸入通関の手順
- 東京税関|ATAカルネの輸出入手続(外国カルネ)
- 日本税関|日本に居住しない者が税関手続を行う場合
- 台湾財政部|Introduction to the ATA Carnet system
- 台湾関務署|貨品暫准通關制度辦理手續
- TAITRA|通關證申請
- 日本商事仲裁協会|カルネとは?
- 日本商事仲裁協会|カルネ加盟国と使用状況
- 日本商事仲裁協会|2026年6月以降のカルネ通関方法
- JETRO|展示品を保税・免税扱いで搬入・輸入する手続き
- JETRO|海外展開のための商談会・展示会出展マニュアル
制度や会場条件は変更されるため、実際の手続きでは各機関・主催者の最新情報をご確認ください。
